ハンドルネーム:Ryo_HS1
竹下通りって知ってるか? 若者でごった返す、あの原宿のメインストリートだ。平日だろうが休日だろうが、どの時間帯でも人が多くて、ちょっとしたお祭りみたいな雰囲気がある。俺はその日、中学の頃の友達と久々に遊ぶ約束をしてて、朝から竹下通りを歩いてた。
ところが、そこで“アイツ”に遭遇したんだ。
人混みの中、暴れまわるジジイ
俺たちはクレープ屋の前で立ち話をしていた。午前中だったから、まだ観光客もそこまで多くなく、通りは少し余裕があった。
…と思ったのも束の間。
ドンッ!!!
「うわっ!」
前方から悲鳴に似た声が聞こえた。
何が起きたのか理解する間もなく、妙な歩き方をしているジジイがいた。
そのジジイ、明らかにおかしかった。年は60代くらい。身なりは普通だけど、目つきが鋭く、まるで獲物を狙うハンターみたいな顔をしてた。そして…何より、わざと人にぶつかりながら歩いていたんだ。
そのジジイは、通りを行き交う若者に次々と体当たりをかましていた。
「ちっ…邪魔なんだよ」
聞こえた。ジジイの低い声が。
ぶつかられた女子高生たちが困惑した表情を浮かべ、外国人観光客は呆気に取られていた。でも、ジジイは気にせず進み、次々とターゲットを変えては、肩をぶつけたり、肘で突いたりしている。
「…おい、あのジジイやばくね?」
友達も気づいた。あまりに不自然な動きだったからな。
ジジイは、ぶつかるたびに満足そうな顔をしていた。まるで「俺の方が強いんだぞ」とでも言わんばかりに、無言で威圧していた。
普通なら「すみません」とか謝るだろ? でも、コイツは違った。むしろ楽しんでる。
「ふざけんなよ…」
俺はムカついた。だが、まだこの時は静観していた。この後、ジジイが自滅するとも知らずにな。
ジジイのターゲットにされる俺
その時、ジジイがまた動いた。今度のターゲットは…俺だった。
ジジイは一瞬、俺をチラッと見た。確信した。次にぶつかる相手を定めた目だった。
(来る…)
そして、ジジイは肩を突き出して突進してきた。
だが―――俺は避けなかった。
むしろ、一歩踏み出して、迎え撃った。
ドガッ!!!
今度は俺が負けなかった。俺もそこそこ運動してるし、ジジイの体格は大きくなかった。だから、思いっきり真正面からぶつかってやった。
「ぐっ…!」
ジジイはバランスを崩した。俺が想定していたよりもはるかに脆い反応だった。
そして――
ジジイは派手によろめき、地面に崩れ落ちた。
自業自得の末路
バキッ!!!!
「ぎゃあああああああああああ!!!!!」
辺りに響き渡るジジイの悲鳴。転倒した拍子に、腕が変な方向に曲がっていた。
完全に折れていた。明らかにおかしな角度だった。
俺も友達も、周りの人たちも、一瞬息を呑んだ。でも、次の瞬間、あまりの大声に驚きつつも、心のどこかでこう思っていた。
(あーあ…自業自得だろ)
竹下通りは静寂に包まれた。だが、ジジイの悲鳴だけが響き渡る。
「い…痛ぇぇぇぇ!!! 誰か! 誰か助けろおおお!!!」
さっきまでの偉そうな態度はどこへやら。地面に転がり、のたうち回るジジイ。
しばらくすると、店の店員が慌てて駆け寄り、近くの交番から警官が来た。通行人たちも「さっきからぶつかってたよね?」と証言し始め、ジジイは完全に悪者として処理された。
「おい、大丈夫か?」
警官がジジイを覗き込むが、ジジイは痛みに苦しみながらも、何も言えなかった。
結局、その後、救急車が来てジジイは運ばれた。竹下通りのど真ん中で、みっともなく転げ回った姿を大勢に見られた上、救急搬送。俺たちは最後まで見届けて、静かに勝利を確信した。
調子に乗ると、こうなる
後から調べたら、こういう「ぶつかりおじさん」って、わざとぶつかってきて相手の反応を見て楽しむらしい。でもな、そんな行為はいつか破滅するんだよ。
このジジイは、その日、自分がハマる“落とし穴”を自分で掘ったようなもんだった。
原宿の竹下通りで、自業自得の末路を迎えた“激突ジジイ”の話。
世の中、ナメてかかると痛い目を見るってこと、コイツは一生忘れないだろうな。