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#0039 大手企業の中年役職者が見誤るベンチャーの採用現実

ハンドルネーム:どーなつ

私が社長を務めるベンチャー企業で頻繁に起こる出来事についてお話ししようと思います。私は30代後半で、ベンチャー企業を経営しています。ベンチャー業界はスピード感があり、変化が激しい。その中で生き残るためには、社員一人ひとりが多岐にわたる役割を担い、全力で働くことが求められます。

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そんな私の会社に、よく「大手企業の役職者」という肩書を持つ中年男性からの応募があります。彼らは、ベンチャー企業に対して妙な幻想を抱いているようです。「大手企業での経験があれば、どんな業務も楽勝」といった誤解です。

彼らとの面接では、そうした誤解がどんどん露呈します。大手企業で培った専門性に自信を持ち、それがあればベンチャー企業での成功は約束されたも同然だと思っている。しかし、現実はそう甘くはありません。ベンチャーでは、一つの専門にこだわる余裕はなく、全員があらゆる業務に柔軟に対応しなければならないのです。

ある日、いつものように採用面接を行っていました。その日の応募者も、やはり大手企業からの転職希望者でした。50代前半の男性で、スーツ姿がピシッと決まっている。彼は、自分がいかに大手企業での経験を積み重ねてきたかを熱弁し、それがベンチャー企業でも通用すると豪語しました。

「私がこの企業に入れば、あなたの会社は大いに成長するでしょう。もちろん、現在の年収より下がるかもしれませんが、それでもこのチャレンジを受け入れます。ベンチャー企業は自由でクリエイティブな環境ですから、私のスキルはきっと活かせるはずです。」

そう彼が自信満々に語る姿に、私は少し苦笑いを抑えました。確かに、彼の経歴は立派であり、専門知識も豊富そうです。しかし、それがそのままベンチャーで通用するかというと、話は別です。

「ありがとうございます。ただ、弊社では一つの専門分野だけでなく、広範囲にわたる業務をこなす必要があります。例えば、営業、マーケティング、さらには雑務まで。全員がそのようなマルチタスクをこなしていますが、その点についてどうお考えでしょうか?」

私がそう質問すると、彼の表情が曇りました。

「もちろん、それは承知しています。ただ、私は自分の専門分野でこそ真価を発揮できると考えています。それ以外の業務は他の方に任せるか、あるいはアウトソーシングすることも可能でしょう。」

その返答を聞いて、私は内心でため息をつきました。ベンチャー企業では、そんな贅沢は許されません。全員が手を動かし、自分の専門外の業務もこなすことが求められるのです。彼の言葉は、この現実を理解していないことを物語っていました。

面接を終えた後、私は、人材会社の担当者に、彼の不採用の連絡をしました。もちろん、丁寧に理由を伝え、彼の希望することを弊社で実現するには難しいことを説明しました。すると、数日後に、人材会社の担当者から驚くべき連絡が入りました。

「彼から『不採用になった理由が納得できない』と強くクレームが入りました。すでに周囲に『ベンチャー企業で働くことになった』と伝えてしまったから、何とかしてくれと言ってきました。」

このようなケースは初めてではありませんが、毎回驚かされます。彼は自分が選ばれることを前提にしていたのでしょう。だからこそ、結果に納得がいかず、人材会社にクレームを入れてきたのです。

私は冷静に対応しつつも、その無神経さに少し腹が立ちました。彼が持つ大手企業での成功体験が、あまりにも偏った自信に繋がってしまっているのです。ベンチャー企業では、結果を出すために全員が必死に働いており、その現実を理解しない者は成功できません。

彼のクレームには適当に対応しました。人材会社の担当者も困っているようで、彼は、これまでにも他のベンチャー企業に応募し、同じような結果に終わっているとの話を聞きました。

彼は自分が思い描いていたような仕事など存在しないことを理解するまでに、多くの時間を浪費しています。ベンチャー企業で求められるのは、多様な業務に柔軟に対応できる力と、全力で取り組む姿勢。それを持たない者は、いくら大手企業で成功していたとしても、その場に適応できずに終わるのです。

(掲載に当たっては、本人の許可を得ております。)