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#0036 クリエイター気取りの社長息子が招いた会社のイメージ崩壊

ハンドルネーム:総務部の中年おじさん

少し前の話になるが、うちの会社でちょっとした騒動があった。私も長年この会社に勤めてきたが、今回の件は本当に頭が痛かった。うちの会社は中小企業で、決して大手のような派手さはないが、ニッチな分野でしっかりとした需要があり、知る人ぞ知る企業として業界内ではそれなりの地位を築いている。とはいえ、従業員の数も少なく、少しでも会社の認知度を上げるために様々な施策を考えていたんだ。

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そんな中、問題を引き起こしたのは社長の息子だ。彼はクリエイター系の専門学校を卒業し、大手広告代理店で働きたかったようだが、どうやらうまくいかなかったらしい。能力が足りなかったのか、コネがなかったのか、はたまた運がなかったのか、定かではないが、結局はどこにも就職が決まらず、父親である社長が彼をうちの会社に「クリエイター」として採用することになった。

正直に言うが、彼には若さゆえの自尊心の高さがあった。クリエイターという職業に強い誇りを持っているのは分かるが、それ以外の仕事を見下すような態度には周りも辟易していた。彼が入社してからずっと不満だったのは、先代の社長が生み出したマスコットキャラクターについてだった。そのキャラクターは、社員にとっても親しみのある存在で、長年愛されてきたのだが、彼はそれを「ダサい」「古臭い」と公然と批判していた。

そんな彼に、会社の認知度を上げるための新しいCM制作を任せることになったとき、私は正直なところ大いに不安を感じた。聞くところによると、業界で名の知れたクリエイターをコンサルタントとして雇い、相当な金額をかけてCMを作る計画が進んでいたらしい。私たち総務部としては経費の観点からも、その案に異論を唱えたが、社長は息子の才能を信じているようで、彼の意見を全面的に支持した。

そして、出来上がったCMを初めて見たとき、全員が言葉を失った。会社のマスコットキャラクターが、自虐的なセリフを吐いて、自分たちのブランドを皮肉るような内容だったのだ。それも悪趣味と言わざるを得ない表現が多く、視聴者の気分を悪くするものだった。私たち社員は一斉に反対の声を上げたが、彼は「新しいことは凡人には理解できない」と言い放ち、自信満々の態度を崩さなかった。

社長も最終的には折れて、そのCMをウェブで限定的に公開することにした。しかし、案の定、公開された途端に酷評の嵐。ネット上では「不快」「何の会社か分からない」といった否定的なコメントが飛び交い、取引先からも心配の声が上がったほどだった。それでも彼は現実を見ようとせず、「テレビ放送では評価が逆転する」と社長に迫り続けた。

さすがにここまで来ると、社長もその息子の意見を聞き入れることはなく、「このCMはもう打ち切る」と決断した。それに対して、息子は激怒し、「こんな分からず屋ばかりの会社なんて辞めてやる」と啖呵を切って退職していった。社内は一時、微妙な空気になったが、正直言って多くの社員はホッとした様子だった。

退職後、彼はフリーのクリエイターとして活動を始めたというが、その後の話を聞くとなんとも皮肉なものだ。彼は自分の作ったCM(おそらく今回の失敗作)を持ち込み、仕事を取ろうとしているらしい。しかし、当然のことながらそのCMで評価を得られるわけもなく、仕事は思うように取れていないようだ。挙句の果てには、生活費や遊びの資金までも社長に依存しているという噂が流れてきた。クリエイターとしての誇りはどこへやら、結局親のすねをかじっている姿は滑稽だ。

正直、この一連の出来事は、会社にとって大きなダメージだった。しかし、その息子が去ってからは少しずつ社内の雰囲気も落ち着きを取り戻し、元の穏やかな日常に戻ってきた。今となっては、あの騒動も一つの教訓として、忘れ去られていくだろう。

(掲載に当たっては、本人の許可を得ております。)