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#0035 新宿駅の「ぶつかりおじさん」に対抗した私の秘策

ハンドルネーム:雨宮エリ

新宿駅の地下街で「ぶつかりおじさん」という存在を聞いたことがある人は、少なくないかもしれません。私もその「ぶつかりおじさん」に出会った経験があり、そこから私の生活は少しずつ変わっていきました。

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あの日、私は一人で新宿駅の地下街を歩いていました。人混みの中をスムーズに歩くことに慣れていたつもりですが、突然、前方から強い衝撃を受けました。「えっ?」と驚き、反射的に振り返ると、何もなかったかのように無表情で去っていく中年の男性がいました。

ぶつかった瞬間は何が起こったのか全くわからなかったのですが、すぐに「あ、わざとだ」と気付きました。その瞬間、私の中で湧き上がったのは怒りではなく、むしろ恐怖でした。

ぶつかりおじさんという呼び方は可愛らしくも聞こえるかもしれませんが、実際に体験すると、その行為は明らかに嫌がらせです。彼らの存在を知った瞬間から、私はその地下街を歩くたびに不安を感じるようになりました。

友人にその話をしたところ、「ぶつかりおじさん」はぶつかるタイミングや動きが特徴的だから、すれ違う前に察知できると言われました。彼らは特に若い女性にターゲットを絞っていることが多く、前方から「きゃっ」という小さな悲鳴が聞こえたら、その近くに「ぶつかりおじさん」がいる可能性が高いらしいのです。

そのアドバイスを聞いてからは、その地下街で歩く時にはイヤホンを外すようにしました。音楽を聞いている間にまたあの恐怖を味わうのは嫌だったからです。

さらに、友人から「ぶつかりおじさん」に対抗するための面白いアドバイスももらいました。「傘の先を向けておけばいいんだよ。そいつら、自分から刺さりにくるんだから」――その言葉を聞いた瞬間、私は確かに一理あると感じました。

でも、それだけでは私の中の怒りや不安は消えませんでした。何かもっと強力な対策が必要だと思ったんです。

そこで考えたのが、折りたたみ傘の先に錆びた画鋲を取り付けることでした。錆びた画鋲を選んだ理由は簡単です。錆が体に入ると良くない、という話をどこかで聞いたからです。本当は釘にしたかったのですが、サイズが大きすぎて諦めました。それでも、この画鋲付き傘は、単なるぶつかり対策だけでなく、痴漢対策にも使えると感じました。

ある雨の日、休日の昼過ぎ。新宿駅の地下街をいつものように歩いていたとき、前方が騒がしいのに気付きました。女性の声が飛び交い、「きゃっ」という悲鳴も聞こえました。どうやら、ぶつかりおじさんが現れたようです。

私はすぐに準備をしました。持っていた折りたたみ傘をしっかり握り、画鋲が付いた先端を前方に向けました。心臓がドキドキと高鳴るのを感じながら、待ち構えていました。

やがて、そいつが私の視界に入ってきました。彼は汗まみれで無表情、そして明らかに私に狙いを定めている様子でした。その瞬間、私は無意識に傘を強く握りしめました。そいつが私に向かってきた瞬間、私は自然と傘を少しだけ前に突き出しました。そいつは、まるで何も気にしていないかのように、私の方に一直線に歩いてきます。すれ違う人々が少しずつ道を避けていく中、私は傘を握りしめていました。

そして、ついにそいつが私にぶつかる瞬間が訪れました。

一瞬の衝撃がありましたが、それは私が感じたものではなく、そいつが受けたものでした。私の折りたたみ傘の先端に取り付けた錆びた画鋲が、しっかりとそいつの横腹に突き刺さったのです。

「痛ッ!」と叫び声を上げ、そいつはその場で立ち止まりました。私の中で何かが弾けたように、興奮が一気に沸き上がりました。私はその場で呆然としながらも、心の中でガッツポーズをしていました。長い間感じていた恐怖や不安が、一気に消えていったのです。

その後、そいつは「痛い、痛い」と言いながら、うずくまるようにその場に倒れ込みました。しかし、周囲の人たちは誰一人として彼を助けようとはしませんでした。むしろ、冷ややかな視線が向けられているように感じました。

おそらく、多くの人が彼の行為に気付いていたのでしょう。彼が迷惑な存在であることを、皆が無意識に理解していたのかもしれません。でも、それならなぜ、周りの人はそいつを事前に止めなかったのでしょうか。

私はその場を離れながら、心の中で清々しさを感じていました。「これで、少しは反省するだろう」と思ったのです。振り返ってみると、そいつはまだ痛みで苦しんでいる様子でした。その姿を見て、私は少し満足感を覚えました。

そして、地下街を歩いている間、ふと自分の手元の傘を見ると、画鋲がいつの間にか無くなっていることに気付きました。恐らく、そいつのお腹に残っているのでしょう。私にとっては些細なことでしたが、彼にとっては今後の生活に影響を与えるかもしれません。私はその考えに心が弾みました。

それ以来、私はその地下街を歩く際にはさらに警戒心を持つようになりました。もちろん、傘には新たな画鋲を取り付けてあります。そして、もしまた別の「ぶつかりおじさん」が現れたら、今度はもっと的確に対処できる自信があります。私は彼らを恐れることなく、むしろ立ち向かうことができるようになったのです。

(掲載に当たっては、本人の許可を得ております。)