ハンドルネーム: マコト
休日の昼過ぎ、皇居の周辺は都会の喧噪を忘れさせる静寂と緑に包まれていた。のんびりと歩くのは、僕たちにとって最高の週末の過ごし方だ。
その平和な雰囲気を壊すように、突然背後から足音が聞こえてきた。振り返ると、一人のランナーが、他の歩行者を次々と追い越していた。彼の走りは速いだけでなく、抜く際の距離も極端に近く、ぶつかりそうなほどだった。
少しすると、そのランナーが僕たちを追い抜いて行った。彼の集中力は走ることだけに向けられており、周りの安全は二の次のようだった。
そんな中、前を歩いていた老夫婦が立ち止まり、景色を撮影しようとカメラを取り出した。ランナーはそれを予測しておらず、避けようとバランスを崩し、前のめりになった。そして、その老夫婦の前を歩いていた若い女性が、そのランナーの舌打ちに反応し振り向いた結果、彼女が持っていた大きなカバンが彼の横腹を直撃した。
ランナーはその衝撃でバランスをさらに崩し、身体はさらに前のめりになり、そのまま地面に強く打ち付けられた。地面に激しく打ち付けられたランナーは、苦痛に顔を歪めながらゆっくりと起き上がった。手や膝からは、血がにじんでいた。彼の表情からは、痛み以上に、怒りがあった。
大きなカバンを持った女性が、彼に近づいて助けを申し出た。しかし、彼は助けを求めるよりも、彼女のせいで、自分がこけたと感じているようであった。「大丈夫ですか？」と声をかける女性に対して、ランナーは怒りで顔を歪めながら、「そんな大きなカバンを持ち歩いて、邪魔ですよ」とイラつきながら言った。
僕と彼女はその場を離れながら、彼女は「あの人、なんて態度なの？」と、そのランナーに怒りを覚えていた。僕は、彼がこけたことを自業自得に思い、もっと大きな怪我をすれば良かったのに、と心の中で思ってしまった。
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