みんなのスカッと体験談!!

私がインタビューしたスカッとする体験談を載せています。

#0018 逆行の罪―通勤路の小さな戦争

ハンドルネーム:サラリーマンの彼方

毎朝のことだ。私は会社への通勤で、いつも同じ道を歩く。道沿いには自転車が行き交い、歩行者も大勢が同じ方向へ向かっている。朝の忙しい時間、誰もが無言で足を進める中、反対方向から来る人もいる。

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反対方向からくる人の中でも、その50代くらいの女性は、決まって大多数の流れに逆らって歩く。彼女の存在は、小さな波紋を道行く人々に投げかける。特に私は、毎朝、彼女とすれ違う瞬間が訪れる。彼女は、自分が正しいとでも言いたげに、誰にも道を譲らない。周りがどれだけ彼女に合わせて道を作ろうとしても、彼女はその場を動かず、しばしば他人とぶつかることさえある。

ある日、またしても彼女が私の目の前に現れた。いつものように、彼女は一歩も譲ることなく、まっすぐに私に向かって来る。通常、私は避けることにしているが、その日は何故か違った。いつもの彼女の傲慢な態度が、私の怒りを静かに掻き立てた。

次に彼女とすれ違うとき、私は決めた。何かアクションを起こすことにした。その数日後のこと、予定通り彼女は現れた。私は彼女が目の前を通り過ぎる瞬間、さりげなく足を出した。彼女は「ギャッ」という声を上げながら、派手に転んだ。周りは彼女の叫びに一瞬だけ目を向けたが、誰も何が原因かは見ていない。私は何事もなかったように、振り返らずその場を離れた。

それから彼女と会っても、私は内心で笑いを堪える。もう二度と足を引っ掛けるようなことはしないが、彼女が転んだ光景は時折、私の心を無性に晴れやかにする。私の中の小さな戦争は、あの日で終わったかもしれないが、彼女が学んだ教訓があるのなら、それは自分の行動が他人にどのような影響を及ぼすかをもう少し考えることだろう。

(掲載に当たっては、本人の許可を得ております。)