ハンドルネーム:朝霧
僕はいつものように、朝のランニングで近くの公園を走っていた。公園は緑が多くて普段は気持ちのいい場所だけど、最近はちょっと違う。その理由は、その人――70歳を超えた老人が毎朝、鳩にパンの餌をやっているからだ。
そのせいで、公園には異常な数の鳩が集まり、鳩のフンで歩道やベンチが汚れ放題。ある日なんて、僕の頭にもフンが落ちてきたんだ。完全に迷惑行為だよね。その人は近所でも有名で、誰もが避ける嫌われ者。誰かが餌やりをやめるように言っても、すぐにカッとなって怒鳴り返す。
彼は一軒家で一人暮らしをしている。周囲には友人もいないようで、いつも一人。どこか寂しそうにも見えるけど、そんな彼の行動が周囲にどれほどの迷惑をかけているのか、本人には理解できていないのかもしれない。だからと言って、この状況が許されるわけではない。
またある日、僕が彼に直接話しかけてみた。『その餌やり、本当にやめてくれませんか?公園がとても汚れてしまっていますし、他の人にも迷惑です。』と僕は言った。けれど、その人の反応は火がついたように激しく、『若造が!自然と戯れる老人に何が文句あるんだ!』と逆ギレされた。僕はただ、困惑するしかなかった。
その話を家族にしたところ、やはり皆、彼に対する不満を抱えていた。そして、彼が入院したという情報が回ってきた。体調を崩したらしい。その間に、誰かが彼の家の庭にパンをまいたらしい。今度は彼の庭が鳩であふれ返る番だ。
入院中の彼にはその状況がまだ伝わっていない。僕はどこかで、彼が早く現状を知ることを望んでいる。彼がどんな気持ちになるのか、見てみたいという「ざまあみろ」の気持ちが、僕にもある。だけど、それで何かが変わるわけじゃないことも、僕は知っている。彼が入院しているこの時間が、彼にとって何かを見つめ直す機会になればいいのにと思う。皆が少しでも快適に公園を楽しめるようになるため。
(掲載に当たっては、本人の許可を得ております。)